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ぶんげいじひょう
文芸時評
宮本 百合子
「東京朝日新聞」1932(昭和7)年1月28~31日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,930 字 · 16 页
「抒情歌」について
――その美の実質――
二月号の『中央公論』に、川端康成の「抒情歌」という小説がのっている。印刷して二十三ページもあり、はじめから終りまでたるみない作家的緊張で書かれている。川端康成の近頃の創作の中で、決していい加減につくられたものでないのはよくわかる。
字も読めない子供時代から、かんで歌留多をとり、神童といわれたような少女が次第に年ごろとなり三年も前から夢で見ていた青年と、夢で見たままの場面、服装でであいする。
龍江というのがその若い女の名である。龍江には異常な霊の力があって、海に溺れる運命だった弟の命を救ったり、一ぺんも行ったことのない愛人の書斎に、古賀春江の絵と広重の版画とがかかっていて、雪の降る日背中に赤ん坊を背負った男が偶然雪かきをやらせてもらいに来たりするところまでをあてる。
男は、龍江が「こんなにまで僕を愛していてくれるのか」とおどろき、「こんなに魂が来ているのに、肉体だけ来ないという法はないと思って」家をすてても来いといってやり、二人は結婚する。
女はどこにいて、何をしていても男に用があると呼ばれないでもそばへ行き、「二つの口から始終同じ一つの言葉をぶつけ合う」