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りょうりとしょっき
料理と食器
北大路 魯山人
「星岡」1931(昭和6)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,959 字 · 4 页
近来、食べ物のことがいろいろの方面から注意され、食べ物に関する論議がさかんになってきた。殊に栄養学というような方面から、食べ物の配合や量のことをやかましくいうことが流行った。けれども、子供や病人ならともかく、自分の意志で、自分の好きなものを食うことのできる一般人にとっては、そういう論議はいくらやっても、なんの役にもたたない。
だから栄養料理という言葉が、まずい料理の代名詞のように使われたのも、むしろ当然である。わたしどもの目からみると、栄養料理というものは、料理にもなにもなっていない。
人間の食べ物は、馬や牛の食物とはちがう。人間は食べ物を料理して食うからである。料理とはいうまでもなく、物をうまく食うための仕事である。だが、わたしはなにもここまで改まって料理の講釈をしようとは思わない。ただ一ついっておきたいことは、ともかく、そういうようなことから医者とか料理の専門家といういろいろな物識りが、料理についてさかんに論議してはいるが、その一人として料理と食器についてはっきりした見解を述べているものがいないということだ。
いうまでもなく、食器なくして料理は成立しない。