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だんそうがん

断層顔

海野 十三

「探偵よみもの」1947(昭和22)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,033 字 · 33 页

青空文庫

それは交川博士の手記にかかる「通信部報告書」だった。同じ八月三日の記載に、次のような文句があった。

「……密航者一名ヲ法規ニ照シテ処理ス。二十三時五分開始、同五十五分終了」

それからその欄外に鉛筆書で「23XSY」“畜生、イカサマだ云々”、「要警戒勝者」と、三つの文句が横書になっている。帆村の顔は硬ばった。

「密航者は一名かと思ったら、そうじゃなく、二名居たんだね。」

帆村は叫んだ。

「君の解釈は自由だ」

桝形は太々しく言い放った。

「ちゃんとここに書いてある。この『通信部報告書』に。これは交川博士の筆蹟だ」

帆村は「密航者一名ヲ法規ニ照ラシテ処理ス云々」のところを指した。そのとき別の書類が、欄外の鉛筆書きの文字を隠蔽していた。それは偶然か故意か、明らかではない。

「これを読んでから、もう一度『航空日誌』に戻ると、密航者が二名あったことがはっきり推定される。なかなか狡い――いや、巧妙な記載だね」

桝形は帆村の言葉を聞き流している。

「抽籤で、碇曳治が流星号の中に残されることとなった。そして他の一名は、法規に照らして交川博士の手により処理された。それに違いない。