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だんぺん(に)

断片(Ⅱ)

寺田 寅彦

「明星」1927(昭和2)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,380 字 · 5 页

青空文庫

こういう点でどこかスパランツァニに似ている。優れた自由な頭脳と強烈な盲目の功名心の結合した場合に起りやすい現象であると思う。

この随筆中に仏書の悪口をいうた条がある。釈迦が譬喩に云った事を出家が真に受けているのが可笑しいというのである。そして経文を引用してある中に、海水の鹹苦な理由を説明する阿含経の文句が挙げてある。ところがその説明が現在の科学の与えている海水塩分起原説とある度までよく一致しているから面白い。

また河水が流れ込んでも海が溢れない訳を説明する華厳経の文句がある。大海有四熾燃光明大宝。其性極熱。常能飲縮。百川所流無量大水。故大海無有増減。とある。大洋特に赤道下の大洋における蒸発作用の旺盛な有様を「詩」で云い現わしたと思えば、うまい云い方である。

(昭和二年一月『明星』)