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あたらしいいっぷいっぷ

新しい一夫一婦

宮本 百合子

「行動」1935(昭和10)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,619 字 · 11 页

青空文庫

すると、良人はその一部始終をきいて、静かに、眼を伏せながらいった。「お帰り。」女は「だって……」と了解しかねていうと良人は昂奮し、

「ここへ来て、そんな問題がどう片づくというんだ。そんなことで部署をすてて、それでこれからどうするというんだ?」

「だって――だって――」彼女も亢奮して一生懸命だった。

「あんまりきたなすぎるわ、まるで泥まみれじゃない」

「泥まみれになるのが厭か」彼は笑った。

「泥まみれも事によると思うわ」

「そうか。泥まみれの選り食いも好かろう。だがな、そんな問題が起るたびに部署をすてたんじゃ、限りない退却があるばかりだ。俺はそんな敗北主義には賛成しないな」

やがて若い階級的な妻である女は、自分が良人のところへかけ込んだことを自己批判し、終局に「物事が乱れるような結果になるかもしれない。けれどもそれが何だろう」あらゆるものを投げ出したものに貞操なんか何だ? そして石川という共働者との場合には逃げ出した彼女は、「もっともっと自由な女性を自分の中に自覚していた、たとえ肉体は腐ってもよかった。革命を裏切らず、卑怯者にならずに自分を押しすすめてゆく途中で、どうせすてた体だ。