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あたらしいぶんがくのたんじょう

新しい文学の誕生

宮本 百合子

若い人に贈る

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,325 字 · 13 页

青空文庫

わたしたちのきょうの生活をリアリスティックに見つめれば、人民の殆んどすべてが日向と日かげの境で暮している。わるいことといいこととのまだらを身につけて生きざるを得ない状態である。今日の生活としてだれしもやむを得ないことは、その程度のちがいだけであるところまで辷りこむと、本質をかえて社会悪となり、また犯罪的性格をもつようになってしまう。公然のうそが、わたしたちの生活にある。うそであることを政府も人民も知っている。だけれどもうそはわるいこととも知っている。モラルの基準もぐらついている。百万円の宝くじに当った人はバクチ打ちとして捕えられない。けれども、バクチは千葉県の競馬場でも大騒動して検挙されているし、新宿もそれでさわいだ。五十円の宝くじを買って、百万円あたる、ということはバクチでないだろうか。勤労の所得と云えるかしら。政府が赤字やりくりのために思いついて、先ず五十円券をどっさり買わせ、それで第一段儲け、ついで五人のひとに百万円あてさせて、こんどは売れのこりに一本あったから四百万円だけはらって、それが何かの形でまた逆にかえって来て、金まわりを助けてゆく。