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あたらしいまち
新しい町
小川 未明
「童話」1925(大正14)年11月号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,465 字 · 11 页
あるところに、母と子と二人が貧しい暮らしをしていました。少年の名を幸三といいました。彼は、子供ながらに働いて、わずかに得た金で年老った母を養っているのでありました。
彼は、朝は、早く勤めに出かけて、午後は、晩方おそくまで働いて、帰りには、どんなに母が待っていなさるだろうと思って、急いでくるのをつねとしていました。
わざわいは、けっして、家を撰び、その人を撰ぶものではありません。母親は、病気にかかって、いままでのごとく、かいがいしく出かけてゆく我が子を見送り、また、晩方は、夕飯の仕度をして待つということができなくなりました。そして、母は、床についたのでありました。
幸三は、どんなに心配したでありましょう。小さいときから、まごころのかぎりをつくして育ててもらった、なつかしい母を思い出して悲しまずにはいられませんでした。彼は、どうかして、はやく、母の病気をなおしたいと願いました。会社にいて働いている間も、たえず心は、家へひかれました。そして、社が退けると走るようにして帰り、母のそばにいったのであります。
少年の思いは、とどかずにはやみませんでした。一時重かった、母の病気もおいおいにいいほうへと向かいましたけれど、衰弱しきったものはもとのごとく元気になるには、手間がとれたのであります。