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あたらしいまち

新しい町

小川 未明

「童話」1925(大正14)年11月号

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,465 字 · 11 页

青空文庫

彼は、とうとう最後の一枚を運び終わったときには、がっかりとして、冷たい床の上に倒れてしまいました。

そのとき、少年の労働者がやってきて、彼の体を抱き起こしながら、

「君は、ほんとうに偉い。たいていのものは、我慢がしきれずにいってしまうのだが、君には、ほんとうに感心させられてしまった。少年ばかりじゃない。大人だって、たいてい辛抱がされずにいってしまうのだよ。さあ、こちらへきたまえ。社長さんに紹介するから……それは、よく解った、しんせつな人だから、きっと君のしたことに感心してしまうよ。」といって、先に立ってゆきました。

幸三は、疲れた体が急に元気に満ちました。つづいて、あとからゆくと、もう一つとびらが閉まっていました。先に立った、労働服を着た少年は、とびらを押すと、それが開いて、中には、人のよさそうな老人が、テーブルに向かって書物を見ていました。

幸三は、どんな人かとおそるおそるはいってきたのでした。きっと社長という人は、いかめしい顔つきをしていると思ったからです。それが、こんなに人のよさそうな年寄りであったので、急に、いい知れぬ懐かしみを感じました。