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あたらしいしつけ

新しい躾

宮本 百合子

NHKラジオ、1946(昭和21)年4月19日放送、「女性の歴史」婦人民主クラブ出版部、1948(昭和23)年4月発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,431 字 · 7 页

青空文庫

この半年ばかりのうちに、私たちの生活におこった変化は、日本のこれまでのいつの歴史にもその例がないほど、激しいものです。日本は今、非常な困難とたたかいながら、一日も早く民主の国となり、平和の保証された国となり、世界に再び独立国として登場するための努力をはじめております。

これからの私たち日本人は、世界に恥しくない市民として、どういう風でなければならないでしょうか。新しい躾の問題も、こういう広い、雄大な立場から考えられなければならないであろうと思います。

躾という字をみますと、美しく身をもつ、ことと思えます。美しく身を持した生活態度というのは、どういうことをさしていうのでしょう。

昔から躾というと、とかく行儀作法、折りかがみのキチンとしたことを、躾がよいといいならわして来ました。しかし、今日の生活は遑しく、変化が激しく、混んだ電車一つに乗るにしても、実際には昔風の躾とちがった事情がおこって来ています。しとやかに、男の人のうしろについて、つつましく乗物にのるのが、昔の若い女性の躾でした。

毎朝、毎夕、あの恐しい省線にワーッと押しこまれ、ワーッと押し出されて、お勤めに通う若い女性たちは、昔の躾を守っていたら、電車一つにものれません。