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あたらしきシベリアをよこぎる

新しきシベリアを横切る

宮本 百合子

「女人芸術」1931(昭和6)年1月、2月号

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 12,232 字 · 25 页

青空文庫

美しい。五ヵ年計画はソヴェトの運輸網を、一九二八年の八万キロメートルから十万五千キロメートルに拡大しようとしている。一九三〇年の鉄道貨物は二億八千百万トンになった。(一九三三年には三億三千万トンの予定。)その事実はシベリアを通ってここまで来る間、少し主だった駅に、どの位の貨車が引きこまれ積荷の用意をし、又は白墨でいろんな符牒を書かれ出発を待って引こみ線にいたかを思い出すだけで証明される。この陸橋だってそうだ。もと、この駅にはこんなに貨物列車の長い列がいくつも止ったりすることはなかったのである。通行人は、のんきにロシアのルバシカと長靴で構内線路を横切って歩いていたのだろう。

ところが、貨車はどんどんやって来、もうその下をもぐって往来しかねるようになったので、この新しい木橋がつくられた。――

新らしい陸橋はここで見たのがはじめてではなかった。どっか手前でもう二つばかり見た。

十一月五日。

あたりはまだ暗い。洗面所の電燈の下で顔を洗ってたら戸をガタガタやって、

――もう二十分でウラジヴォストクです!

車掌がふれて歩いた。

Y、寝すごすといけないというので、昨夜はほとんど着たまま横になった。