轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

「女人藝術」1928(昭和3)年10月号~1930(昭和5)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 247,330 字 · 497 页

青空文庫

時計は十二時を打っている。二時間以上も待った。いろんな人の出入りに、邪魔にならぬように立っていることがつまらなくなって、戸外へ出る。何だって、あの男は冷酷無情なのかさっぱり判らない。無力なものをいじめるのが心持ちがいいのかも知れない。

歩いて根津権現裏の萩原恭次郎のところへ行く。

節ちゃんは洗濯。坊やが飛びついて来る。

朝も昼も食べないので、躯じゅうが空気が抜けたように力がない。坊やに押されると、すぐ尻餅をついてしまう。恭ちゃんのところも一銭もないのだと云う。恭ちゃんは前橋へ金策の由なり。

銀座の滝山町まで歩く。昼夜銀行前の、時事新報社で出している、少年少女と云う雑誌は割合いいのだと聞いたので行ってみる。

係の人は誰もいないので、原稿をあずけて戸外へ出る。四囲いちめん食慾をそそる匂いが渦をなしている。木村屋の店さきでは、出来たてのアンパンが陳列の硝子をぼおっとくもらせている。紫色のあんのはいった甘いパン、いったい、何処のどなたさまの胃袋を満すのだろう……。

四丁目の通りには物々しくお巡りさんが幾人も立っている。誰か皇族さまのお通りだそうだ。皇族さまとはいったいどんな顔をしているのだろう。