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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
長谷川時雨『新編 近代美人伝 (上)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:明治美人伝、明治大正美人追憶、樋口一葉、一世お鯉、大橋須磨子、竹本綾之助、豊竹呂昇、平塚明子(らいてう)、松井須磨子、芳川鎌子。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,076 字 · 256 页
二代つづいて時の総理大臣侯爵に思われたので、桃吉も発奮したのであろう、彼女は岩倉公を彼女ならではならぬものにしてしまった。そして大勢の子のある美しい桜子夫人との仲をへだてて館を出るようにさせてしまった。そして二人は、桃吉御殿とよばれたほど豪華な住居をつくって住んだりした果が、負債のために稼がなければならないという口実で、彼女が厭きていた内裏雛生活から、多くの異性に接触しやすい、もとの家業に近い店をだしたのであった。彼女は笹屋の主人となり、ダイヤモンドをイルミネーションのように飾りたてて、幾十万円かの資産を有していたというに、あわれにも公爵家は百余万円の浪費のために、公爵母堂は実家へ引きとられなければならないというほどになり、館は鬼の高利貸の手に処分されるようになり、若くて有為の身を、笹屋の二階の老隠居と具張氏はなってしまった。桃吉が資産家になり、権力が加ってゆくと共に、今は爵位を子息にゆずって、無位無官の身となった具張氏は居愁い身となってしまった。やがて二人の間に破滅の末の日が来て、具張氏は寂しい姿で、桜子夫人の許にと帰っていった。ささやの三階から立ち出た人には、あまり天日が赫々とあからさますぎた事であろう。