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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

長谷川時雨『新編 近代美人伝 (下)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:市川九女八、江木欣々女史、遠藤(岩野)清子、大塚楠緒子、九条武子、朱絃舎浜子、田沢稲船、柳原燁子(白蓮)、モルガンお雪。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 页

青空文庫

それから、森鴎外、森田思軒、依田学海、宮崎三昧道人。」

「あたしにも読ましてよ。」

と錦子は引きとって、

「エレベエタアにて一分間に登りし人、頂上十二階まで紅葉山人、露伴子、美妙斎主人――いいわね。」

錦子は、苺のような色の濡れた唇で、

「十一階が二葉亭だわ。それと、漣山人。十階に広津柳浪と江見水蔭よ。五階目通過中に川上眉山人がいる。いい気味だわ。」

「どうして。」

と孝子は笑った。

「硯友社だからでしょ。」

「投書家って、よく何か知っているものね。ねえ、この凌雲閣の登りかたで、古い人のことも解るわねえ。」

それは錦子のいう通りだった。彼女たちが見ている十二階登壇人の続きには、

開業以前、建築中より登壇したる人というのに、末松青萍、福地桜痴、矢野竜渓、末広鉄腸がある。

夫松さんは伊藤博文の愛婿で、若い時から非常な秀才と目されていた人だったという。明治十二、三年時分――もっと早くからかも知れない――演劇改良、国立劇場設立をとなえている。桜痴居士は、現今の歌舞伎座を創立し、九代目団十郎のために、いわゆる腹芸の新脚本を作り、その中で今でも諸方でやる「春雨傘」が、市川家十八番の「助六」