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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

長谷川時雨『新編 近代美人伝 (下)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:市川九女八、江木欣々女史、遠藤(岩野)清子、大塚楠緒子、九条武子、朱絃舎浜子、田沢稲船、柳原燁子(白蓮)、モルガンお雪。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 页

青空文庫

「そういえば、あなたの髪の毛は赤いね。」

と、洗い髪をそのまま、チョンピンにして、白い大幅のリボンを、額の上へ、大きな蝶のように結んで、紫の袴を胸高に穿いている錦子を凝と見て、

「稲舟なんていうより、君がそうしていると、この建築物によく似合っている。ほんとに好い、ほんとに好い。」

と、すこし離れて、透して見るようにした。

「おかしな女だ。日本髷を結うと黒い毛なのにね。」

「いいえ、赤っ毛なんですわ。」

錦子が、はずかしがって項垂れると、頸から背中の生毛が金色に覗かれた。

片翳りの、午後の街ではあったが、人っこ一人通らない閑静さで、蜥蜴が、チョロチョロと歩道を横ぎってゆくほどだった。美妙斎はおさえきれないように、いたずらっぽく錦子の髪の毛をひっぱった。

見る見る、錦子の耳朶が、葉鶏頭のような鮮紅の色になって、躰をギュッと縮め、いよいよ俯向いてしまった。

と、片側の赤煉瓦の、寮舎――ニコライ寺の学寮――の窓から、讃美歌が洩れて来て、オルガンの合奏もきこえだしたので、美妙斎は錦子を抱えるようにして歩き出した。

そんなことがあってから後だった。孝子に逢うと、錦子は、