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ほうそくについて
方則について
寺田 寅彦
「理学界 第十三巻第四号」1915(大正4)年10月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,493 字 · 17 页
精しく云えばこの中には身辺にある可動性の器物や人間や一切のものの引力も加わっていてこれらが動けばそれだけの影響はあるはずである。ただこれらの影響は地球全体に比べて小さい事も確実である。次には雰囲気の引力から起るものであるが、これは地面にある物に対しては大体において零となるはずである。次には月、太陽、諸遊星を始めあらゆる天体の引力も加わる。これらは質量が大なる代りに距離が遠いので影響はやはり小さいものである。例えば比較的最も著しい月の影響でも目方の変りは百万分の一を超えることはない。恒星はその数においては甚だ多いが、その距離の莫大なのみならずまたその引力の方向が区々であるために総和は幾何学的の和である。仮りに恒星の全質量が天球上に一様に分布されているとすれば総和は零となる。これに反して恒星が地球を通ずる一直線上に羅列していたらばどうであろうか。もし各個の質量が同一で間隔も同一ならば、これらの引力の総和は丁度前に出した収斂級数で表わされ従って有限なものになる。もしも重力が距離の自乗に反比例せずして距離自身に比例するのであったら結果は収斂しないのである。