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ひはかがやけり

日は輝けり

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页

青空文庫

上気せのような熱が出たりするようになると、お咲は起きているさえようようなのが、浩にもよく分った。心を引き締めて、自分を疲らせたり、苦しませたりするものに、対抗して行くだけの気力が、姉の体からは抜けてしまったらしい。ちょうど亀裂だらけになって、今にもこわれそうな石地蔵が、外側に絡みついた蔦の力でばかり、やっと保っているのを見るような心持がした。実際お咲にとっては、小さいなりに一家の主婦という位置が、負いきれない重荷となってきたのである。

人のいない二階の隅で、部屋中に輝やいている夕陽の光りと、チラチラ、チラチラ、と波のように動いている黒い葉影などを眺めながら、お咲は悲しい思いに耽った。若し自分が死ぬとなれば、否でも応でも遺して行かなければならない息子の咲二のことを思うと、胸が一杯になった。ようよう今年の春から小学に通うようになりはなっても、何だか他人に可愛がられない子を、独り置いて逝かなければならないのかと思うと、死ぬにも死なれない気がした。一足、一足何か深い底の知れないところへ、ずり落ちかかっているようで、お咲は気が気でなかった。

「咲ちゃん、母さんが死んじゃったらどう?」