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ひはかがやけり
日は輝けり
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页
涙が、いくら押えようとしてもこぼれた。遣るだけは、岩にかじりついても遣り通さずにはいられない彼の心が、励ましであり、苦しみであった。
自分の前途において、出会わなければならないどんな運命も、臆病に回避しようとは思わぬ。けれども……。
自分に期待されている――家を継ぐべき者として、そのことは当然なこととして、他の周囲からは考えられている――と思うと、浩はこわくなってしまった。どこまで責任を持てば好いのか?
十七
自分等のごく僅かな家族の中から、二人まで発狂者を出したことは、浩に或る深い疑惑を起させたのである。幾代か前の祖先で、気の違った人はなかっただろうかということが、非常に考えられ不安でならなかった。父親には、病的な精神欠陥がないというだけでは、恐ろしく微妙な遺伝の証明にはならぬ。たくさん生れた同胞達が、皆早死にをしたのも、そんなことが原因になっているのではあるまいかとも考えられる。浩はほんとうに恐ろしかった。
「若し万一そういうことがあれば、どうすれば好い? 俺は不安だ! 考えると堪らない!」
けれども、浩は働かなければならない。