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ひはかがやけり

日は輝けり

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页

青空文庫

「うんよしよし。あっちへ行っておれ」

と優しい声音で云った。

「またうんよしなの? お父さん! どうして咲二にそう会わせて下さらないの? え? ね、どうぞ――ほんとにちょっとで好いんだから、一目で好いのよ」

「ああよし、よし、待っておいで、今に会わせてやる。今に……。な、いくらでも会わせてやる」

「今に、今にって、私もう何度おたのみするんだか知れやしないじゃあないの? ひどいわあんまり!」

急激に発作して、発狂したお咲は、このごろになっては、次第に精神が鎮まるにつれて、一日の中には、かなり度々正気に戻るようになって来た。

フト夢からさめたように気が付いた瞬間、彼女は暫く自分がどこにどうしているのやら、まるで解らなかった。けれども、次第に正気でいる時間が長くなり、いつとはなく、ほとんど正調に復した頭脳になって来ると、自分の今までのことが、ちぐはぐながら思いやることが出来た。

そうなって来ると、お咲には、その無一物な暗い、陰気な一部屋の生活が全く堪らないものに感じられて来た。息子が恋しくなって来た。彼の命にかけていとおしい咲二の顔を一目でも見たい。

「お母さん!」