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ひはかがやけり
日は輝けり
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页
「これはどんなものだろうな?」
孝之進は、自分で包から出した「狙仙」を、番頭と並んで坐っている主人に見せた。
「さあ、どれちょっと拝見を……」
利にさとい主人は、絵を見る振りをして、孝之進の服装その他に、鋭い目を投げた。そして何の興味も引かれないらしい、冷かな表情を浮べながら、
「真物じゃあございませんねえ……」
と云った。列べてある僅かの骨董などを、ぼんやり見ていた孝之進は、さほど失望も感じなかった。
「そうかな? 頼んだ人は(彼はちょっとためらった)真物に違いないと云っておったんだが……」
「ハハハハ。そりゃあどうも……。こう申しちゃ何でございますが、贋物にしてもずいぶんひどい方で。へへへへ」
それから主人は、孝之進がうんざりするほど、贋だという証拠を並べたてた。
「が、せっかくでございますから、十円で宜しきゃ頂いときましょう。それもまあ、狙仙だからのことで……」
孝之進は、主人が列挙したような欠点――例えば、子猿の爪の先を狙仙はこう書かなかったとか、眼玉がどっちによりすぎているとかいう――を、一つ一つ真偽の区別をつけるほど、鑑賞眼に発達していない。(若し主人のいうことが事実としたら)それに、また持って歩いて、どうするという気になれないほど、体も疲れている。