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ひはかがやけり
日は輝けり
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页
これはかつてお咲の嫁入りのとき、箪笥でも作ろうなどと云われたこともあったもので、穢ない茅屋根を被い隠すようにして、毎年紫の品の好い花が一杯に咲いた。松だの杉だのばかり多い村中で、孝之進の家の目標しのようになっていたのを、今伐り倒すことは、不如意な暮し向きを公然発表するようで気も引けた。けれども背に腹はかえられぬところから、孝之進はかねて見知り越しの材木屋を呼んで価踏みをさせた。商売となれば、遠慮はない。材木屋はいろいろな難癖をつけて、一抱えもある桐を、二十円で買ってしまった。
久し振りで東京へ行ったことだから、息子のこと、娘のことをあれこれ聞くのを、楽しみにしていたおらくは、浩のことを云い出すと、「あんな馬鹿のことなんぞ訊くな」と云われるのが心外であった。そしてそればかりではなく、東京のことを訊かれるのを厭っている様子が彼女に不審を起させた。心配になった。で三晩かかって孝之進に見つからないように心を配りながら、お咲のところへ手紙を出した。太い、にじんだ平仮名ばかりで、ところどころへ涙の汚点を作りながら、「わたくしのしんぱいおすいもじくだされたく候」