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ひはかがやけり

日は輝けり

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页

青空文庫

「ネ、これなら……ホラそっくりだろう!」

「帰ってくると、また火の玉のようになって怒るぜ!」

「かまうもんかい! そうすると、見ろそっくりこのままの面になるからハハハハハ」

「フフフフフフフ」

振り向くと、笑いながらかたまっている顔が、石鹸のあぶくを掻きまわしたように見える間から、今いつの間にか作られたと見える一つの滑稽な人形がのぞいている。

括り枕へ半紙を巻きつけた所には、擬うかたもない庸之助の似顔が、半面は、彼がふだん怒ったときにする通り、眉の元に一本太い盛り上りが出来、目を釣り上げ、意気張って睨まえている。半面は、メソメソと涙や鼻汁をたらして泣いて、その真中には、どっちつかずの低い鼻が、痙攣を起したような形で付いていた。庸之助の帽子をかぶり、黒い風呂敷の着物を着せられたその奇妙な顔は、浩を見ながら、

「どうしたら好かろうなあ……」

と歎息しているように見える。浩は苦笑した。おかしかった。が、心のどこかが淋しかった。賑やかなうちに妙に自分が、「独りだ」とはっきり感じられたのであった。

二

お咲の体工合の悪いのは、昨日今日のことではない。じき体が疲れるとか、根気がなくなったとかいうことは、今更驚くほどでもないけれども、いつからとなくついた腰の疼みが、この頃激しくなるばかりであった。