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にほんすいりしょうせつのまがりかど

日本推理小説の曲り角

十返 肇

「宝石増刊号第14巻第12号」宝石社、1959(昭和34)年10月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,901 字 · 6 页

青空文庫

つぎに、これは横溝正史などがよく用いたシチュエーションであるが、地方の旧家にまつわる因果ばなしによって、大きな屋敷が「化物屋敷」といわれて空家になっているというような背景が、私たちには実感をもたなくなってきたことである。住宅難にあえいでいる現代の日本では、たとえ、どんな神秘な伝説があろうとも空家などというものは、リアリティをもたないのである。前記の作家たちは、こういう舞台を取り扱わず、もっと読者の身近かにある平凡な場所を舞台に求めた。

つぎにいうまでもなく、明敏神のごとき名探偵なるものを廃したことである。“探偵”というものが、私たちの周囲には存在しない。私たちの知っている探偵とは、興信所の事務員のごときもので、縁談の相手の品行をしらべたり、良人の浮気をさぐるぐらいの用にしか役立たず、殺人事件など手がける探偵というものの存在は、私たちの実感に遠いのである。

これまでの日本の探偵小説は、ほとんど米英の模倣であったから、こういう日本の風土や習慣と遊離した作品であったし、読者もまた、探偵小説では、そういう非現実的な面白さで満足していたのである。しかし、純文学系の作家は、あくまでも日本的な現実の上に立って、「探偵小説」