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にちぼつのげんえい

日没の幻影

小川 未明

「劇と詩」1911(明治44)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,424 字 · 14 页

青空文庫

〔人物〕

第一の見慣れぬ旅人

第二の見慣れぬ旅人

第三の見慣れぬ旅人

第四の見慣れぬ旅人

第五の見慣れぬ旅人

第六の見慣れぬ旅人

第七の見慣れぬ旅人

白い衣物を着た女

〔時〕

現代

遥かに地平線が見える。広い灰色の原には処々に黄色い、白い、赤い花が固って、砂地に白い葉を這って、地面から、浮き出たように、古沼に浮いているように一固り宛、其処此処に咲いている。少し傾斜して一軒の小舎がこの広い野原の左手に建っている。ちょうど赤錆の出た箱のようで、それに付いている蓋の錠が錆び付いて鍵はいつしか失われたもののように、一つの窓があるが、閉っている。夕日はその閉った窓の上に、その赤黒い小舎の上に落ちている。

第一の見慣れぬ旅人 この広い、果しのない沙原。疲れているように、物憂いように、あのゆるい波の如く、病的の発作のように波動をしている地平線を見よ。ああ曲線の果なくつづいている地平線の彼方へ、私は歩いて行くのだ。幾日も、幾日も、ただ独りで話しするものもなければ、また眼を楽しますものもない。(足許を見廻して)この黄色な花、何という色の褪せたような花だろう、この白ちゃけた沙原に咲いて、沈黙の裡に花を開いて、やがては萎んでしまう花だもの、誰がこの花を心して見るものがあろうか。