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にちぼつのげんえい
日没の幻影
小川 未明
「劇と詩」1911(明治44)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,424 字 · 14 页
第一の見慣れぬ旅人 けれど遂にいっしょになった。
第三の見慣れぬ旅人 私は、あなた方が休んでいる間に追い付くことが出来た。
第一の見慣れぬ旅人 三人は何等の約束もなしにこの沙原で出遇った。
第二の見慣れぬ旅人 そしてこの不思議な窓の閉っている小舎の前に立った。
第一の見慣れぬ旅人 ああ日が暮れる。地平線が黒くなって、空が黄色くなった。
(何となく、一帯に日暮方の景色となる。)
第二の見慣れぬ旅人 (進み寄って、小舎の壁板を叩く。)何の応えもしない。この小舎の裡には、闇が鎖している。その闇は、腐れている。その闇の底に死骸が横わっている。死骸は、自分の上を掩うたこの小舎が壊れて、落ちて、自分を沙原の中に埋めてくれるのを待っている。何故というに空虚の中に横わっているのを不安に思っているからだ。死骸が土に埋った時、時間から、空間から全く逃れたのである。腐れた死骸が、空気に晒らされて空間を占め、時の流れに横わっている間は、死骸も亦不安を感ぜずにはいられないのだ。
第一の見慣れぬ旅人 あなたは、この小舎に人が死んでいると言われるのですか。
第二の見慣れぬ旅人 人の死骸があるばかりでない。