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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

25 渡りきらぬ橋

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,172 字 · 36 页

青空文庫

あたしは、草双紙に実が入って、日が暮れてから、迎えをよこされて帰って来て叱られると、大勢のお稽古を待っていたというのが逃げ口上だったのが、すっかり分かってしまった具合のわるい時だったので、俄然取りしまりが厳しくなって、よからぬ習慣は、寸にして摘まずばといったふうに、ともするとあたしは、奥蔵の縁の下に押込まれたり、蔵の三階に縛りつけられたりして、本を――文字のあるものを見ることを厳禁されてしまった。

それもまた、親の情であったかもしれない。あたしは、アンポンタンと呼ばれ、総領の甚六とよばれ、妹の色の白さに対して烏とよばれ、腺病質ででもあったのか、左の胸がシクシクして何時もそっと揉んでいたが、十二三には、祖母を揉みに毎日くる小あんまに、叩いてもらうほど苦しかったので、母は、机にギッシリと胸を押しつけてばかりいるからだと怒ってもいた。だが、おそろしく幼時は臆病だったので、蔵へは独りでものも取りにゆけないし、我が家でありながら、ぼんぼりをつけなければ、厠へもゆかないというふうであったから、十一やそこらで、床の高い、石でかこった、土蔵の縁の下に、梯子をとりあげられ、薦一枚の上におかれることは、上の格子から光のくるのを遮ぎられてしまうと、冷汗を流して、こおろぎに脅えたり、夏であると風窓が明いていると、そこへ顔を押しつけ