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わせだかぐらざか

早稲田神楽坂

加能 作次郎

「東京日日新聞」1927(昭和2)年6月11日~29日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,407 字 · 46 页

青空文庫

鶴巻町通りは、何といっても早稲田で唯一の目抜きの大通りである。だが私があすこを通る毎に思うことは、あの通りが大学前から一直線に山吹町羽衣館前まで、町幅が今の二倍も広くなり家並もきちんと整い、両側にはさわやかな行路樹などを植えたりして、もっと感じのよい、品位にも富んだ、本当にいわゆる大学街といった風な、そして万余の学生諸君のためには、しっとりとした湿と温かい情味とに富んだ、心地よき散歩街ともなるようなものにならないだろうか、ということである。そうしたらどんなにいいだろう。又現に著々とその輪廓を整え、益々外観の美を増しつつある大学自身もどんなに引立って見えることだろう。穴八幡附近も、すぐ下に高等学院が出来たりしたためもあって、馬場下の通りでも、坂上の旧高田馬場跡の下戸塚通りでも、見違えるほど明るい繁華な町になった。

実は私は大学を中心として、それをめぐって近来異常な発展をなしつつあるいわゆる「早稲田」の名のもとにおける地方について、つぶさにその変遷推移の跡を尋ね、既往を回顧し現在を叙し学生々活の今昔をも物語る積りであったが、与えられた回数がすでに尽きたので、一方にのみ偏して甚だ申し訳なき次第だが、止むなくこれを他日の機会に割愛し、ここにわが愛する「心のふるさと」