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めいじのごじゅっせんぎんか
明治の五十銭銀貨
服部 之総
「社会労働研究 創刊号」1954(昭和29)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,448 字 · 15 页
たしかに領事ハリスは、ニューヨーク州生れの熱心なクリスチャンであったが、ついこのほどまでながいこと東洋貿易に従事してきたぬけめのない商人でもあった。立派な品位のアメリカ銀貨を、もっとも悪い品位の日本銀貨――安政一分銀――と量目で交換して百ドルにつき三百十一個となる。三百十一個の一分銀を、当時の貨幣制度に従うと一分銀四個で小判一枚となるのだから、金貨に換えると金331/4=77.777両を得る。かりにこの金貨が、最も品位の悪い安政二分判だったとしても、七十七両三分で百五十五個半の安政二分判を、れいの「同種類同量」の原則でアメリカ金貨と交換すれば、百五十ドル余りになるということは、ハリスはチャンと見越していたはずである。ぬれ手で粟の百ドルにつき五割のもうけはたいした腕だ。
同じ手品で古二朱金と換えれば、米銀貨百ドルが米金貨二百三十ドル二六余となってもどり、保字金ならばじつに三百四十四ドル二五となってもどる。鎖国日本の金銀比価が世界の金銀比価とこんな開きをもっていたことが、目のつけどころとなったのである。
貿易の開始とともに、日本の金貨は洪水のように海外に流れ去ってしまう。