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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
16 その十五 赤罠
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,372 字 · 67 页
――その系図をごらんに入れては」
と、兄にうながされ、チヨは立って、仏間から系図を持参し、中をひらいて示して、
「御自分の次の代に、三代目不破喜兵衛として良人清作、また四代目喜兵衛として、男ならば清作の子喜十郎、女ならば同じく喜久子の配偶。喜十郎、喜久子はいま私のおナカにいる子供なのです。よその系図は過去のものだが、未来の系図は珍しかろう、とお父上は高笑いを遊ばして、この証人のワリ判はお寺の老禅師のものだが、ついでにお寺の過去帳の方にも未来の分を書いておいたぜ、と大笑いでした。葬式のマネゴトをやるについては、これも浮世の仕来だから受けて置けと気軽な様子でお手渡しになったのです」
なんとなく深い意味があるような、ないような、曰くありそうな系図であった。とにかく老禅師に問いただすと、製作のイキサツは分ることだ。新十郎は一礼して系図を返し、
「よく分りました。ところで、そのとき御尊父は寮の車で市川の別荘へ立ち去られたそうですが、ここへおいでの時にも寮の車で?」
「いえ、御本宅のお車です。ですが、そのお車は何かの用でどこやらへ遣わされたようでした。なにぶん葬式の前日ですから、何かと諸方と往復の御用やら何やらがありましたようです」