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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
15 その十四 ロッテナム美人術
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,950 字 · 85 页
そこに倒れていたものは、もはや影にすぎなかった、と言うべきであるかも知れない。
南国の一角に千年の王者であった大伴家はこの一瞬に亡びたのであろうか。あとに残ったものは、ただ莫大な財宝だけであった。それはシノブの手に帰したものであろうか。
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宇佐美通太郎は、妻の語る現実の悲劇を、そして、その悲劇中の一人物の語る言葉を科学者の注意深さで、熱心に耳にとめ、心にとめようと努力していた。けれども俗事は陰険で表裏が非科学的に複雑であるから、いくら注意深くても、世事にうとい科学者の見逃し易い要点があった。その代りには、アベコベに、世事に通じた人々が見逃し易いものを確実に捉える場合もあった。
また彼は最も世俗的な要点を見逃し易い代りに、いったんそれを発見して心にとめると、その重要さを人一倍理解して、さらに奥を究める能力があった。
彼は大伴家の莫大な財産について世俗的な関心がなかったから、義兄の風変りな結婚も、その妹と結婚した自分のことすらも、大伴家の財産をめぐる誰かの意図によるものだということを久しく気附かなかったほどである。
しかし、それに気がついた今日に至って、義兄が廃人として精神病院の一室へ運び去られたこの悲劇の終幕を知ると、この劇の性格や秘められた意図を劇のソモソモの始めから見直して、考え直す