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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

19 その十八 踊る時計

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,713 字 · 54 页

青空文庫

しかし、犯人はこの部屋の中にはおりません。居らなくともオルゴールの鳴る仕掛けが施してあったのです。そのとき犯人はよその部屋にみんなに顔を見せていました。そしてオルゴールが鳴り、ナミ子がカギがなくてウロウロしていることをチャンと心得ていました。充分に人に顔を見せておいてユックリ散歩にでました。オルゴールが鳴る以上はこの時間には全作がまだ生きている。だからこの時間以後のアリバイがありさえすれば彼は犯人と疑われる筈がありません。このアリバイに狂いはありッこないのです。なぜなら、彼の予定の時間をずれてオルゴールが鳴るという心配は絶対になかったからです。そんな大胆な確信がなぜ生れるかと申すと、その種アカシはカンタンすぎるのですがね」

新十郎はドアをあけて一同を部屋の内部へ案内した。卓上に在った物の位置が変っていた。常には寝台附近の別の小卓上のオルゴールが大きなテーブルの上に移され、置時計の位置が反対側に変っている。

オルゴールのフタの中央についてるカギの孔に糸がむすびつけられている。糸の一端は置時計の踊り子の一人の胴に結びづけられていた。それだけのことだった。