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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
21 その二十 トンビ男
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,486 字 · 57 页
「さ、これが一ツのヒント。そのあらゆるワケを考えて順に追求して捨てるべき物を棄て取る物を取って進むのが、あなたの新しい出発の一ツ。さて、その次には……」
新十郎はパラパラ日記の頁をめくって、話につれて一々その箇所を探しだして示しながら語りつづけた。
「魚銀から弁龍和尚の名をきいてまず坊さんを尋ねたのは賢明でした。この坊さんからのキキコミには特に重大なことはないようですが、次に訪れた天心堂以下は次へうつるにしたがって次第に重大そのもののキキコミでしたね。そのキキコミは全部が全部と云ってよいほど意味の深いものでした。あなたはそれを整理して、殺されてバラバラにされたのはトンビの人物、実は加十と結論なさった。まさにそれにマチガイありますまい。しかし、その結論一ツだけでは不足ですね。キキコミはまだまだ多くの暗示に富んでいますよ。その五ツ六ツをザッと列挙しても、次の通りです。天心堂が石松の勘当と加十復帰の噂を耳にしたのは人見角造からであった。この人見は小栗が京子と結婚して平作の新しい秘書になるまでは、彼がその位置におり、才川家の家族の一員として邸内に同居していた。