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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
18 その十七 狼大明神
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,208 字 · 52 页
黄金の箱を小脇にかかえてクワのほかにガンドウとチョウチンをぶら下げて戻るつもりかねえ。このへんのことは考えると妙ですよ」
「それじゃアお前さんはお父さんが何をしていたと考えるかね」
「そいつは分りませんや」
と彼は吐きすてるように云って苦笑した。その他のことはハッキリと答えたがらぬ風で、次第に口数が少くなるばかりであった。
別れぎわに新十郎は伊之吉にきいた。
「お前さんのウチの畑は遠いのかね」
「いいえ。ウチの隣りにちょッぴりしかありません。だからフシギでさア」
伊之吉の小屋をでて、一行は帰途についた。
「伊之吉の話は意味深長ですね。賀美村へ戻って定助の殺された時の様子をこまかく調べてみると何かが分るかも知れませんね」
新十郎がこう云うと、花廼屋は、
「それも大ありだが、私は二ツの屍体が天狗の面をかぶされていたのが奇妙だと気がついたね。天狗の奴は大きなドテラに裃の肩をつけたようなダブダブの変った着物をきていたがあの着物をきて、猿田の面をつけて、総髪にすれば、天狗の女房が亭主に化けていても分りやしないね。うすぐらくって、小屋からちょッと距離のある仕事場だからね」