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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
07 その六 血を見る真珠
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,951 字 · 51 页
「これで読めた。大和は利巧な奴だぜ。奴は今村をゆすっているのだ。奴は尾羽うちからしていやがるし、昇龍丸の乗員で出世したのは今村だけだ。奴めは芝で一寸した貿易会社の社長だアな。だが大和の奴がこんな芝居を打つようじゃ、今村に泥を吐かせる確証がねえような気もするなア」
「どうも変だな。オレはたしかに八十吉がデッキから戻ってきたのを聞いた筈だが」
と訝かったのは清松である。
「あれはまだ宵のうちだ。九時半か十時ぐらいに相違ないが、金太が八十吉の落ちた声を聞いたてえのは朝方じゃアないか」
「とんでもない。オレがそれと入れ違いに大部屋へ戻った時は、だらしなくノビた奴も半分いたが、半分はまだバカ騒ぎの最中よ。九時半か、十時ごろだ」
「そのとき今村は大部屋にいたか」
「そこまでは気がつかねえや。なんしろバカ騒ぎの最中だし、半分は酔い倒れていやがるし、ロウソクは薄暗えや。オレは隅ですぐ寝ちまったからな」
「人が海に落ちたのを見ていながら。だから、お前はウスノロてんだ」
と五十嵐。
「だからよ。オレにしてみりゃア、船長室へ降りた奴が教えに行ったと思ってらアな。ふんづかまって働かされちゃアつまらないから、早く寝たんだ」