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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

08 その七 石の下

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,242 字 · 65 页

青空文庫

「なにか筋を見落したということでしたね」

「見落しがあったようです」

「その筋は石の下ではありませんか」

新十郎の声は、にわかに早口で、高かった。千代はビックリして目をそらした。千代は答えなかった。

「甚八は村の方々をまわって、このへんに有名な石、珍しい石はないか、ときいていたそうですね」

千代は黙して答えない。

「とうとう川越の居酒屋で、タナグ山の祭神が、石だということを突きとめて、次の日からタナグ山へわけこんで歩きまわっていたそうですね」

千代はまだ答えながったが、新十郎は一向に気にかけない風であった。

「甚八はあなたの兄さんに答えて、オレが石をきいてまわるのは、仏が死ぬとき指したのが碁盤じゃなくて碁石だからと考えてみたからだと云ったそうですね。たしか甚八はそう申したそうですね」

千代は尚も答えがなかった。

「あなたは茶をもって二階へ上ったとき、二人のどちらへ先に茶ワンをだしましたか」

千代は驚いて顔をあげたが、蒼い顔にちょッと血の気がさした。

「甚八さんへ先に差上げたと思います」

「どのへんの位置へ差しだしましたか」

「膝のすぐ横手でしたでしょう」

「次の茶ワンは?」