轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

せいざ

星座

有島 武郎

1922(大正11)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页

青空文庫

だから伏眼がちにますます急いだ。

大通りまで出ると、園は始めて研究室の空気から解放されたような気持ちになった。そして自分が憚らねばならぬような人たちから遠ざかったような心安さで、一町にあまる広々とした防火道路を見渡した。いつでも見落すことのできないのは、北二条と大通りとの交叉点にただ一本立つエルムの大樹だった。その夕方も園は大通りに出るとすぐ東の方に眼を転じた。エルムは立っていた。独り、静かに、大きく、寂しく……大密林だった札幌原野の昔を語り伝えようとするもののごとく、黄ばんだ葉に鬱蒼と飾られて……園はこの樹を望みみると、それが経てきた年月の長さを思った。その年月の長さがひとりでにその樹に与えた威厳を思った。人間の歴史などからは受けることのできない底深い悲壮な感じに打たれた。感激した時の癖として、園はその樹を見るごとに、右手を鍵形に折り曲げて頭の上にさしかざし、二度三度物を打つように烈しく振り卸ろすのだった。

その夕方も園は右手を振ろうとする衝動をどこかに感じたけれども、何かまたはばむものがあってそれをさせなかった。衝動はいたずらに内訌するばかりだった、彼は急いだ、大通りを南へと。