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せいざ

星座

有島 武郎

1922(大正11)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页

青空文庫

そういう間にも、その男は金縁の眼鏡の奥から、おせいの様子をちらりちらりと探るように見た。優しいかと思うときゅうに怖くなるような眼だった。

「で、その金を借りだしてどうなさろうというのかな」

父は書類を取り上げながらこう尋ねた。待っていたと言わんばかりに、その男はまた折鞄の中から他の書類を取りだした。

「それがこれになろうと言うんです。これがまた偉いもんですぜ。胆振国長万部字トナッブ原野ですな。あすこに百町歩ほどの貸下げを道庁に願いでて、新たに開墾を始めようというんです。今日来がけにちょっと道庁に寄っていただいたが、その用というのがこれです。たいていだいじょうぶ行きます。……何しろあの若さでこれだけの事をやり上げようというんだから……若さといっても四十だが、なあに男の四十じゃあなた、これから花というところです。やあ、どうも話がわき道に外れちゃったが、どうでしょうな、お嬢さんのお考えは……ただどうも問題になりそうなのは年のちがいじゃあるが」

と、まともにおせいの方を見て、

「あなたが三十におなんなさる時を思やあ、むこうはやっと四十九だ。ちょうどいいつり合いになりまさあ。