轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せいざ
星座
有島 武郎
1922(大正11)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页
少なくとも園がこの家で邪魔物あつかいにされていないのを知るのは彼にとっても限りなく快いことだった。
おぬいさんは慌て気味に襷とエプロンとを外ずしながら、茶の間に行ってラムプの芯をねじ上げた。その釣りラムプの下には彼の見慣れたチャブ台の上に、小さずくめの食器がつつましく準備されていた。小母さんを見、おぬいさんを見、その可憐なチャブ台の上の様を見ると、園の心は思いもかけず小さく激しく沸き立ちはじめた。
「その鞄は」
と小母さんは怪しむように尋ねた。
「今お話します」
園は小母さんの怪訝そうな顔に曖昧な答えをしながら、美しい楕円の感じのする茶の間に通って、いつもの所に、……柱を背にして倚りかかることのできる……胸の動悸を気にしながら坐った。
「どうなすったのです……明りのせいかしらん、……お顔の色がお悪いようですが……」
火鉢のわきに小母さんが、園からずっと離れて茶箪笥の前におぬいさんが座をしめた時には、園の前にはチャブ台は片づけられていた。園は自分の顔が醜いほど充血しているだろうとばかり信じていたのに、そう小母さんにいわれてみると、手の先までが寒さのためばかりでなく冷えきっているのを感じた。