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えいがのれんあい
映画の恋愛
宮本 百合子
「日本映画」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,915 字 · 6 页
「四つの恋愛」はコンスタン・ベネット、シモーヌ・シモン、ロレッタ・ヤング、ジャネット・ゲイナーという四女優を集めてこれらの女優の特色で興味をひこうとしたものであったろうが、案外に深みも味も、特長さえ大して活かされていなかった。
日本の映画では、以上のような点が一そうきわ立って現われていると思う。日本の映画俳優は、感情表現を独特な立場から研究しなければなるまいと思う。単純な西洋風をまねたばかりでは活動写真の範囲を出ないし、われわれの日常生活の習慣が感情表現に加えている長年の制約を、演技的に止揚することは大切な努力の一つとして将来に期待されることである。
「裸の町」を観ても感じたことであったが、日本の女優の力演の顔には共通な一つのものがある。妻として苦境に堪えて行く顔は充実して表現されるが、もっと内部的に複雑な葛藤を物語る際になると、顔は非常に消極的な役割しか演じなくなる。「裸の町」についていえば夫の留守債鬼に囲まれながら孤城のような店に立てこもっている妻の顔つきは全く内部の感情と結びついたものであって、観る者を納得させた。けれども猫を捨てる海岸の場面、駅前の小料理屋の場面などで、妻の顔は言葉を失ってどちらかというとただの女の顔になってしまっている。