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えいがかいてぢかのもんだい
映画界手近の問題
伊丹 万作
「改造」1936(昭和11)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,970 字 · 16 页
そのくせ引き抜いた主人公である会社側に対しては一言も触れない場合が多いのは我々の常に了解に苦しむところである。
さて、こうはいうものの私は決して引抜きが悪いものだとは思っていない。そればかりか、むしろこれはなくてはいけないくらいに考えているのである。
なぜならば、私には映画産業の最も健康な発展形式は自由競争をほかにしては考えられないからである。
そしてこの一条は私にとって金科玉条であり、いやしくも映画産業に関する私の考え方はことごとく右の定理の上に築かれ発展しているものと認めてもらって何らさしつかえはない。
したがってこの意味からいえば映画の産業統制といい、また映画産業ブロック化の傾向といい、前者は画一主義を予想させる点において、後者は限られた資本系統の独占からくる無数の弊害を伴うであろう危険性においてともに私の最もむしの好かぬ現象である。たとえば映画統制の手始めとして着手された日本映画協会は創立されてもう一年近くにもなるが、いまだかつて同協会が人道的な意味から四社連盟の存在を検討したという話を聞かない。それどころかむしろ彼らの間では話題にさえのぼったことはないであろう。