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えいがざっかん(に)
映画雑感(Ⅱ)
寺田 寅彦
「帝国大学新聞」1933(昭和8)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,516 字 · 11 页
制服の処女
評判の映画「制服の処女」を一見した。最初に、どこかの柱廊前に並んだ、ものはなんだかわからないが、何かしら勇ましくたくましい男性的彫像などが現われ、それから男性的なラッパの音に導かれて兵隊の行列が現われる。それだけがこの映画における男性の登場者のすべてである。この、対照のために插入されたかと思われる兵隊の行列が女学生の行列に切り換えられてからは、もうずっと最後まで男の役者は全く一人も現われない。これはたしかに珍しい映画であるに相違ない。娘たちはこの学校へいれられたが最後みんなおそろいの棒縞の制服を着せられて五か月たつまでは一回の外出も許されずに、厳重な舎監のいわゆるプロイセン的な規律のもとに教育を受けなければならないのである。プロイセン軍国的訓練のために生徒たちは「特におなかのすく日曜」をこわがらなければならないのである。
こういう環境におおぜいの若い娘たちを置いたら彼女たちはいかに反応するか。そこにいかなる現象が起こるであろうか。こういう問題を提出し、その解答を得るために一つのエキスペリメントを行なったのがすなわちこの映画であるかとも思われる。