轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はるのとうぞく
春の盗賊
「文芸日本」1940(昭和15)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,212 字 · 58 页
客のうしろで、にやっと笑って、君の亭主は、それを見るなり、かっと一時にのぼせちゃって、無代進呈するつもりであります、ほんとうに無代進呈いたします、おれは嘘なんか、つかない、なあに、こんな商売していても、お客を、だますことなんか、きらいなんだ。無代進呈します、さあ、みんな持っていってくれ、信じない奴は、ばかだ。無代進呈いたします。露店商人にも、意地は、あるんだ。みんな、ただで差しあげます。ああ、お嬢さん、ほしいの? いいねえ、あなたは、人を疑わない。はじめから、おれが、ただで、この万年筆をさしあげること、はじめっから信じていてくれたんですね。ああ、疑わない人は、とくをする。さあ、さし上げましょう、三本。一本は、お父さんに。一本は、お母さんに。私を忘れないで下さい! さあ、ほかに欲しい人はないか。疑うやつは、損をする。世の中、なんでもそうだ。利巧ぶってにやにや笑っているやつは、かえってばかだ。大ばかの大間抜けだ。素直に信じる人は、とくをする。神さまだって、可愛がる。はい、あなたに一本。はい、あなたにも一本。ああ、おれは、泣くほどうれしい。なあに、おろし値段六円と少しだ。