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とけいとまどのはなし

時計と窓の話

小川 未明

「小学五年生 4巻6号」1951(昭和26)年9月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,803 字 · 10 页

青空文庫

私の生まれる前から、このおき時計は、家にあったので、それだけ、親しみぶかい感がするのであります。ある日のこと、父が、まだ学生の時分、ゆき来する町の古道具屋に、この時計が、かざってあったのを見つけて、いい時計と思い、ほしくてたまらず、とうとう買ったということです。

「これは、外国製で、こちらのものでありません。ある公使の方が持って帰られましたが、その方が、おなくなりになって、こんど遺族は、いなかへお移りなさるので、いろいろの品といっしょに出たものです。機械は正確ですし、ごらんのとおり、どこもいたんでいません。」と、そのとき、店の主人は、いったそうでした。

父は、主人のいうことを信じ、ほり出しものをしたと喜んで、これをだくようにして、自分のへやへ持ち帰りました。

私は、父から聞いた、そんな遠い昔のことを考えながら、いま自分の本だなにのっている時計をながめていました。外国から、日本へわたり、人の手から人の手へ、てんてんとして、使用されてきたので、時計も、だいぶ年をとっていると思いました。

たとえ、古くなっても、その美しい形は、かわらなかったのです。四角形というよりは、いくらか長方形で、金色にめっきがしてあり、左右の柱には、ぶどうのつるがからんでいて、はとのとんでいる浮きぼりがしてあるので、いつ見ても平和な、しずか