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とけいとまどのはなし
時計と窓の話
小川 未明
「小学五年生 4巻6号」1951(昭和26)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,803 字 · 10 页
な感じがするのでした。
私の本だなには、教科書や、雑誌や、参考書などが、ごっちゃにはいっています。壁には、カレンダーがかかっているし、へやのすみには、野球のミットが投げ出してあって、べつにかざりというものがなかったから、この時計だけが、ただ一つ光って、宝物のように見えました。
母も、そう思っていたようです。しかし、母が宝物と思ったのは、多少ぼくが思ったのと、意味がちがうかもしれません。なぜなら、父と母が、家を持ったはじめのころは、まだいまの大きな柱時計もなくて、このおき時計ただ一つがたよりだったからでした。毎朝、父は、この時計を見て出勤したし、また母は、この時計を見て、夕飯のしたくをしたのでした。そして、時計は、休みなく、くるいなく、忠実に、そのつとめをはたしたのです。
けれど、ぼくが生まれて、学校へあがる時分には、いつしか、茶の間の柱へ、大きな時計がかかって、時間ごとに、いい音をたてたり、すべてご用をたすようになっていたので、この金色のおき時計は、忘れられたように、父の書斎で、書だなの上にのせられたまま、ほこりをあびていました。
私は、ほこりをあびて、止まっている時計を見るたびに、なんだか、かわいそうに思い、人間のかって気ままに対して、腹立たしくさえ感じました。