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とけいとまどのはなし
時計と窓の話
小川 未明
「小学五年生 4巻6号」1951(昭和26)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,803 字 · 10 页
「おとうさん、あのおき時計をもらっても、いいでしょう。」と、私は、たのみました。
なぜか、父は、すぐにやるといわなかったのです。それを無理にたのんで、私は時計を自分のへやへ持ってきました。その当座のこと、母は、そうじをしに、私のへやへはいってこられると、おき時計をごらんになって、
「これは、いい時計ですから、だいじになさい。」と、いわれたのでした。さも、子どもが持つような品でないといわれるようでした。
「なにしろ、正ちゃんの生まれる前から、家にあるのだし、おとうさんが、だいじにしていられたのですからね。それに、この時計を見ると、平和な感じがするでしょう。」と、おかあさんは、いわれました。
「ぼくも、そう思うんです。しかし、時間は、正確なんですか。」と、私は、いいました。
いつか、山本くんが遊びにきて、ラジオを聞きながら、この時計を見あげて、
「おや、この時計は、おくれているのだね。」と、いったことがあるからです。
「それは、正確でしょうよ。おとうさんが、外国製のいい時計だと、いつもほめていらしたのですから。」
母は戦時中、この時計を疎開先へ持っていって、こちらへ帰ると、時計屋へみがきに出したこと、そして、それがなかなか手間どるので、父が再三さいそくにいったことなど、思い出しました。