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とけいとまどのはなし
時計と窓の話
小川 未明
「小学五年生 4巻6号」1951(昭和26)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,803 字 · 10 页
「そんなことをいうと、笑われるよ。標準時にあわせてあるので、ラジオのほうがいつも正しいのだ。この時計をみがきにやって、長くかかったのも、そんなことだったろう。……時計屋では、下へ落としたことがないかといっていたから。それでなくても、長い間には機械がすれて、くるいがくるので、もう、昔のように、直らないかもしれない。」
こう、聞くと、私のいままでのほこりと喜びは、たちまちきえてしまいました。しかし父はこういったけれど、まだ時計に対して、いくらか未練を持っているようでした。
「時間が正確でなければ、家宝でも、なんでもありませんね。」と、ぼくがいうと、父は、
「しかたがない。なんにでも、寿命というものが、あるからな。」と、さびしそうに、いいました。
「このごろは、日本でも、いい時計ができるから、そのうち、新しいのを買ってやる。」と、いって、さすがに、父は、いつまでも価値のないものに、こだわるようすはなかったのです。
私は、あまり、あきらめのいいのを、かえってものたりなくさえ感じました。
「おかあさんも、平和な感じのするいい時計だとおっしゃったが、ほんとうにおしいことですね。