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じげんばくだんきたん

時限爆弾奇譚

海野 十三

――金博士シリーズ・8――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,934 字 · 20 页

青空文庫

だから、第五号以下、どんなことが、書き並べてあっても、気にすることなんか一向ないのさ」

「なるほど、なるほど。ええと第五号は、紫檀メイタ卓子か。それから第六号が、拓本十巻ヲ収メタル書函か。それから……」

と、彼は、警告文の左記列項を順々に読んでいって、遂に最後の項に来た。

「ええと、第十二号。礎石。『エディ・ホテル』ノ礎石ナリとあるよ。こればかりは、所在がはっきりしているではないか。礎石といえば、石造建物のホテルの一等下の角にある石のことじゃないか。あれは南京路に面した町角だったな。あの礎石が、二日のちの二十六日に大爆発を起すことになると、これはたいへんだ。ホテルの近所の家は、全部立ち退きをしないと大危険だねえ」

彼は、驚駭のあまり、歯の根もあわず、がたがたと慄えだしたが、そのとき咄々先生はからからと笑って、

「やあ、なにを騒ぐぞ。これも商人の儲け仕事の一つさ。つまり石材の値が、高くはねあがる見込みだと一般に思わせて、大儲けをしようというわけだよ。なあに、爆発なんぞしやしないよ。うっかりその手に乗るやつが大莫迦さ」

と、一笑に附した。

「ああなるほど。これもやっぱり金儲け的謀略だったか」