轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くらがりのおとまつ
暗がりの乙松
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社、1936(昭和11)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,992 字 · 25 页
六
野村屋の手代は冷やかに云った、「とんだ御災難でございましたな。帰って主人にそう申し伝えますが、しかし――約束は約束ですからお返し願えないとすると、明日この屋敷は明け渡していただかなければなりません、どうかそのおつもりで、今夜のうちに荷物をまとめておいてください」
「そ、それじゃ……こんな災難の中で、この家屋敷を明けろとおっしゃるだか」
「阿漕のようかは知れませんが、私どもでも商売でございますからな。貸した金が取れなければ抵当をいただくより致しかたがございません、どうかそのおつもりで」
そう云い棄てると、なおも云い縋ろうとする嘉兵衛の声を振切るようにして、野村屋の手代はさっさと街道口のほうへ立去ってしまった。
六
お秀は泣くことも忘れて、石のように身動きもしなかった。嘉兵衛は茫然と、宙を覓めたまま肩で息をついている――娘のお稲だけは、投出された濡雑巾のように、畳の上へうち伏して泣咽んでいた。
「駄目だ、これで何もかもおしめえだ」
やがて引裂けるように嘉兵衛が云った、「これ……お秀、お稲も来う」
お秀は放心したように振向く、娘は泣きながら父のほうへすり寄った。