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あんごうレコードじけん

暗号音盤事件

海野 十三

「講談雑誌」1942(昭和17)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,583 字 · 24 页

青空文庫

だから侯爵さまは、誰も持っていない神の力でもって、いい声の人をお探しになれるのですってよ」

「やれやれ、今のメントール侯も、中世紀ごろと同じに、半分は人間で、半分は神さまなんですね。さあさあ、話はそれくらいにして、今夜は皆さんに集っていただいて、ダンスの会を開きましょう。リスボンから仕入れて来た御馳走も開きますよ。ぜひ皆さん来てくださいね」

「あーら本当ですの。本当なら、素敵だわ」

「あたし、そう来るだろうと思って、待ってたのよ」

「まあ、あんなことを……」

とにかくに、白木は、まんまと島の白人の娘さんたちの人気を攫ってしまった。まるでメントール侯の再来でもあるかのように。

本土の外の秘庫

山麓の宿舎に入って、私はさっきから気になって仕方のなかったことを、白木に訊ねたのであった。

「メントール侯と音叉の話は、出鱈目なんだろうね」

「出鱈目などとは、とんでもない。それに、あの金髪娘たちが、その本当なることを、あのとおり証明してくれたんじゃないか」

「すると、メントール侯の音の研究は、本格的なんだね。ふしぎな城主さまだ」

「おいおい、感心してばかりいたのでは駄目だよ、あれは君に聴かせるために、おれが話を切り出したことなんだ」