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ダーク・ミニスター
暗黒公使
夢野 久作
「新作探偵小説全集 全九巻」1933(昭和8)年1月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 页
「こんなものが門の中にありました」
「門の中のどこに!」
と私は受取りながら訊ねた。
「……扉の内側に挟んでありましたのが、風で閉まる拍子に私の足下へ落ちましたので、多分旦那方の中においでになるんだろうと思いましたから……」
「よしよし。わかった。貴様は表へ出て待ってろ」
「いや。一寸待て」
と志免警部が横から呼び止めた。運転手はぎくりとしたようにふり返った。
「へ……へい……」
「最前貴様がここへ来た時には、日本人や外国人取り交ぜて五六名の者がたしかに居たんだな」
「へい。それはもう間違いございません。私がこの眼で見たので……」
「よし……行け……」
と志免警部は噛んで吐き出すように云った。そうして私が封を切って読みかけている手紙を熱海検事と二人で覗き込んだ。
その手紙は記念のために、まだここに持っているが、白い西洋封筒の上に鉛筆の走り書きで、
警視庁第一捜索課長
狭山九郎太様 御許に
志村のぶ子 拝
と認めてある。中の手紙はタイプライター用紙六枚に行を詰めて叩いた英文で、よほど急いだものらしく、誤植や誤字がちょいちょい混っている。飜訳すると原文よりは少々長くなるようであるが、あらかたこんな意味である。