轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ダーク・ミニスター

暗黒公使

夢野 久作

「新作探偵小説全集 全九巻」1933(昭和8)年1月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 页

青空文庫

た。

かくして小生等親子三人は、当然の酬いとはいいながら、天下に身を置く処がなくなったのであります。ただ一人、貴下の御同情を仰ぐより外に生存する道がなくなったのであります。

放蕩無頼の酬い、又は売国奴相当の末期とは申せ、一切の同情と庇護とを受くる資格を喪失すると同時に、拳銃と、麻縄と、毒薬と、短剣とに取り囲まれて遁るる途もなくなっておりながら、僅に残る未練から、せめて妻子だけは無事に生き残らせて、日本人らしい一生を送らせたいばかりに、かような苦しい手段を以て、極秘密の裡にこの遺書を貴下に呈上する事の止むを得ざるに立ち至りました。小生の境遇に対し、一片の御同情を賜わりまして私の迷える魂を安んじ賜わらむ事を、三拝、九拝してお願い致す次第であります。

――因みに――この遺書は内容を厳秘にして小生の旧友藤波弁護士に委託しましたもので藤波自身もこの内容を存じません。これは同人に内容を知らせて迷惑をかけたくない考えから致しました事で、一つには同人に預けておきました方が、可疑がわしい銀行の地下室に預けるよりも安全確実と信じましたからかように計らいました次第であります。